イベントの入場券として使用する「チケット」は、イベントが終了した後も、特別な体験のメモリアルとして大切に保存するファンが多くいます。
しかし、近年ではイベントチケットのデジタル化が進み、従来のような形で保存することが難しくなってきました。そのため、熱量の高いファン層を中心に「思い入れのあるチケットを記念品として手元に残したい」というニーズが高まっています。
このニーズに応えるため、ローソンエンタテインメントはSBINFTの協力を得て、実際にお客様が参加したイベントの「座席情報」などが記載された記念チケットをNFT化するサービス「LAWSON TICKET NFT(以下、ローチケNFT)」を開発しました。
ローチケNFTの記念チケットは「唯一無二の席番入りメモリアルNFT」として、サービス開始以来ファンから高い支持を得ています。
チケットを記念品として保存したい
紙のチケットが保存する「思い出」
紙のチケットは単なる入場券の枠を超え、イベント終了後もノートやアルバムに保管したり額縁に飾ったりすることで、ファンの大切なコレクションとなっています。
1枚のチケットにはデザイン、日時、会場名、座席番号といった情報が刻まれており、これらの組み合わせはこの世に二つと同じものがありません。そのため、紙のチケットは当日の体験と結びつき、自分だけの特別な思い出として残すことが可能でした。
コロナ禍が変えたライブエンタメ市場
2020年から約3年間続いたコロナによる緊急事態は、ライブエンタメ市場に大きな変化をもたらしました。
リアルイベントの開催が困難となり、2020年には前年比で8割ものイベントが消失(※1)するなど、業界は深刻な影響を受けました。世間で巣篭もり需要が急増する中、イベント主催者はライブ配信やバーチャルイベント、メタバースなどデジタル技術を活用したエンタメの提供に活路を見出します。
また、非接触や外出控えといった感染症対策のニーズから、電子チケットの普及が急速に進みました。
現物として残らない電子チケット
購入から入場までシームレスに利用できる電子チケットは、その利便性が高く評価されています。
しかし一方で、「思い出の保存」という側面において、現物が残らないため、ファンの「思い出を形に残したい」というニーズに十分に応えられていませんでした。
ローソンエンタテインメントが「ローチケNFT」を開発
ローソンエンタテインメントは、国内のエンタメチケット市場においてトップクラスのシェアを獲得する「ローソンチケット」を運営する企業です。
「ローソンチケット」では全国のローソンやミニストップ、約15,000店舗の店頭で365日/24時間、チケットの発券サービスを展開しています。
新しい価値を提供するため「NFT」に着目
コロナ禍が収束し、イベント開催の件数が着実に回復する中で、ローソンエンタテインメントの新規事業開発部 部長 鈴木氏は、リアルイベントでも「デジタル×エンタメ」を通じてファンに新しい価値を提供したいと考えます。
様々なアイディアを模索する中で、特にチケットサービスと相性が良いと思われるNFTに着目しました。
NFT(Non-Fungible Token)はブロックチェーン技術の一種で、各トークンが固有の識別情報を持つ点が特徴です。
ブロックチェーンとは、複数のコンピュータで情報を共有・管理することでデータの改ざんや消失を防ぐデータベース技術です。
記念チケットをNFT化して特別なメモリアルに
ローソンエンタテインメントはSBINFTの支援を受けて「ローチケNFT」を開発しました。
このサービスでは、実際のイベント会場の「座席情報」などが記載された特別なメモリアルをNFTとして提供しています。
なお、NFTは各自が所有するウォレットに配布されるため、いつでもお手元でご覧いただけます。
ローチケNFTはパブリックブロックチェーンの「Polygon」でNFTを発行しています。
|SBINFTの支援内容
SBINFTは、本取り組みにおいて、事業面と技術面の両方から支援を行いました。
事業面では、ローソンエンタテインメント社の要望を整理し、市場調査を基に事業モデルのアイデアを共同で創出しました。さらに、事業開始後の流れを踏まえ、具体的なサービス設計を提案しました。
また、ファンマーケティングプラットフォーム「SBINFT Mits」の活用支援や、PR方針に関する提案も行っています。
技術面では、システム構築における要件定義の支援からNFT発行システムの実装までを一貫して担当し、必要とされるNFT関連システム全般の構築を支援しました。
チケット購入者の30%以上がNFT付きチケットを選択
ローチケNFTは、2022年3月のサービス開始以降、200件以上のライブイベントで導入され、配布したNFTの総数は2万5,000枚を超えました。また、イベント主催等からのローチケNFTに関する問い合わせ数は250件以上となりました。
NFT付きチケットは通常のチケットよりNFTの価格分、価格が高く設定されているのです
が、購入者の30%以上が選択しています。
また、SNSでは、「唯一無二の席番入りメモリアルNFT」として高く評価され、ファンからは好意的なコメントが多数寄せられています。
「ファンの実際の反応はとても良好で、自分の推しのイベントの席番が入ったものがNFTになるのは非常に嬉しいということでした。特に、ローチケNFTのデザインはお客様一人ひとりの席番を入れてNFT化しており、1枚1枚丁寧に作っていることを感じていただけたのが非常に嬉しかったです。」(鈴木氏)
今後の展望
今後、ローソンエンタテインメントは、チケット事業にとどまらず、旅行事業、エンタメ物販サービス、映画事業など、同社が展開するさまざまな分野で、エンタメファン向けのNFTを活用した新たなサービスを模索するといいます。
その取り組みの一例として、同社はローチケ、ローソントラベル、そしてNFTを活用し、国内初(※2)の新しいエンタメツアーを販売しました。本企画では、「SBINFT Mits」を活用し、ツアー開始前に国内で購入者へNFTを配布。韓国でのエンタメ観覧時には、配布されたNFTを「もぎる」ことでチケットとして使用する実証実験を実施しました。
なお、SBINFTは、これまで培ったサービスや知見を活かした企画提案を通じ、この取り組みを支援しています。
「日本だけではなく、国境を超えてエンタメを楽しめる場を作りたいと考えています。SBINFT社も含めて関係性を作りながら取り組みを拡大していきたいです。」(鈴木氏)
SBINFTについて
利便性の向上、コミュニティーの形成、新たな体験の提供。そんなNFTを通した革新的なサービスを、先頭に立って社会へ。そのサービスを誰もが信頼できるプラットフォームで、社会の常識に。ひらかれ、つながった社会の構築を目指して。
所在地 | 東京都港区六本木一丁目6番1号 泉ガーデンタワー |
設立 | 2015年5月 |
事業内容 | ・NFTプロジェクトの運営を通じたファンの可視化、育成、獲得が出来るマーケティングプラットフォーム「SBINFT Mits」の提供 ・承認制による安心安全なコンテンツのみ流通することを目的としたパブリックチェーンによるNFTマーケットプレイス事業「SBINFT Market」の提供 ・企業や団体などが、NFTを活用した新たなビジネスモデルの構築を実現するためのNFTコンサルティング事業「NFT Consulting」の提供 ・自社ドメイン上で様々なNFTコンテンツのマーケットプレイス構築を実現するWebAPIによるマケプレ構築支援事業「TOKEN CONNECT」の提供 |
URL | https://sbinft.co.jp/ |
SBINFTでは「Be the FIRST. Be the STANDARD. NFTを社会に広げる、その真ん中に」を企業理念に掲げ、NFT事業への参入障壁を下げるような技術開発に取り組んでいます。
当社では、NFTマーケットプレイスの運営の経験とノウハウをもとに、NFTコンサルティング事業、技術開発・支援も積極的に行っています。
もしNFTを活用してみたい、NFTに興味はあるけれどどう活かせばよいか悩んでいる…など、NFTにまつわるご検討事項がありましたらぜひSBINFTにご相談ください。
(※1)出所:ぴあ総研(https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta_20201027.html)
(※2)当社調べでは、国内で配付されたNFTを韓国でチケットとして利用する試みや、割引・プレゼントの特典が貰えるNFT企画付きのエンタメツアーの販売は、国内初の取り組みです。
*所属・役職等はすべて取材日時点のものです。
本サイトに掲載されているコンテンツの著作権は当社に帰属しており、無断で転用、複製等を行うことは固く禁じます。