NFTが活用される様々な分野の中でも特に実用性が高い事例の一つとして、ホテルや自動車メーカー、イベント、コミュニティなどにおけるNFT会員権があります。
NFT会員権とは、会員権と同等の機能を持つNFTのこと。
その多くは、保有することでイベントの入場権やコミュニティにおける優先的な情報取得権など、現実社会においても特別な体験や優遇を受けられるようになっています。
昨今NFTと会員権の掛け合わせは、リアルとデジタルを繋ぐ価値ある体験を生み出せるとして多くの企業やプロジェクトから注目を集めています。
今後さまざまなビジネスの可能性を広げ、NFTの大衆化を後押しするであろうNFT会員権について、その概要やメリット、現時点での代表的な事例をご紹介していきます。
NFT会員権とは?
NFT会員権とは、発行元の会員であることを証明できる唯一無二のデジタル会員権のことです。
会員制度を導入し、これまでカードや紙といった実物の会員権や会員証が発行されてきたレストランやホテルなどの施設でも、続々と会員権をNFT化する波が来ています。
実物で交付されている会員権をNFTにすることで、実際の店舗以外にも、Webサイトやメタバース上の店舗などで会員のみが受けられるサービスを幅広く利用できるようになりました。
NFT会員権のメリット
会員権の性質に応じた柔軟な設計ができる
一般的な会員権は、規約上の制約やシステム上の問題に加え、個別の流通市場が形成されていない場合が多く、譲渡や売買を行うことは難しかったと考えられます。
一方でNFT会員権は、様々な特典を利用できるだけでなく、事業者がほかのNFTと同様にNFTマーケットプレイスで二次流通することを前提に会員権を発行していれば、会員が第三者に譲渡することは比較的容易です。
デジタルアセットにすることで、送付先のウォレットアドレスさえ分かれば簡単に送付できるため、NFT会員権は、従来の会員権と比較すると非常に取引しやすく、流動性を高める柔軟な仕組みになっているのではないでしょうか。
もちろん、譲渡不能なNFTとして会員権を発行することもできますが、二次流通を認めることで会員権の配布者は、NFTマーケットプレイスでの二次流通を通じて認知度を向上できるだけでなく、一般的な会員権との差別化を通じたブランディング効果も期待できます。
商品・サービスの割引券やイベント参加権などの
特典がたくさん
NFT会員権を持つメリットは、保有しているだけでVIP対応や商品・サービスの割引券、イベントへの参加などの多岐にわたる特典を受け取ることができる点です。
会員権にNFTを活用して新たな付加価値を付与することで、ビジネスチャンスのさらなる拡大を実現します。
会員管理とセキュリティの徹底化に最適
会員権を発行する場合、その会員権に付帯する権利の価値が高ければ高いほど、利用者の特定や偽造防止のために様々な工夫が必要になります。
NFTは、NFTの作成者と今の保有者のほか、所有者の変遷といったすべての取引履歴を証明し、デジタルデータが1点ものであることを示す技術です。
ブロックチェーン技術を基盤とするNFTは、すべての取引履歴が連続性をもって記録され、データ書き換えが不可能なため、デジタルデータの改ざんやコピーを防ぎ、それが完全な1点ものであることを証明できます。
NFTで作った会員権は、データの改ざんやコピーを防ぎ、世界にひとつしかないことが保証されるため、会員情報の管理やセキュリティの徹底に適していると考えられます。
NFTについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
実際の活用事例
イベント参加などの特典がついた宿泊権NFT。
「NOT A HOTEL」MEMBERSHIP
アプリ一つで自宅(別荘)とホテルを切り替えられる「住めるホテル」を開発・販売するNOT A HOTELは、2022年8月からその物件(部屋)のメンバーシップをNFT化して販売しています。
NOT A HOTEL MEMBERSHIPは、1棟あたり3億円台から8億円台で販売されているNOT A HOTELの宿泊権とイベント参加などの特典を合わせたもの。
ミッションである「すべての人にNOT A HOTELを」を実現するために、1日単位にまで分割した宿泊権をNFT化して最低価格125万円から販売し、見事完売しました。
NOT A HOTEL MEMBERSHIPのユニークな特徴は、旅する日付も行き先もランダムに決まるというところ。
旅する日の3ヶ月前にエアドロップでホテルの鍵となる「THE KEY」というNFTが届き、届いた瞬間に旅の日付も行き先もランダムに決まります。
宮崎県青島の国定公園内に誕生した南国リゾート「NOT A HOTEL AOSHIMA」は、海を目の前に臨む開放感あふれる建築デザインが魅力であり、栃木県の那須に広がる16万坪の牧場内に建てられた「NOT A HOTEL NASU」は、20頭の馬が暮らす広大な自然を楽しむことができる施設となっています。
もし旅する日のスケジュールが合わなければ、その年に受け取るTHE KEYのみをNFTマーケットプレイスで売却可能。メンバーシップを保有していれば、また翌年に新たなTHE KEYが届きます。
フェラーリのNFT会員権!
「Ferrari 458 Spider Membership」
2021年6月には、NFT会員権に特化したNFTマーケットプレイス「Buynet(バイネット)」が誕生しました。
Buynetの第一弾販売として注目を集めたのが、「Ferrari 458 Spider Membership」です。
Ferrari 458 Spider Membershipは、約5,000万円の価値を持つフェラーリの車種であるスパイダーを、半永久的に月会費や年会費もなく、世界中の主要都市で毎月30km(12時間以内)まで無料で利用できるという画期的な内容。
会員権がNFTとして発行されているので、サービスの途中でもNFTマーケットプレイスで売却することが可能です。
当初5万円で販売が開始されたFerrari 458 Spider Membershipでしたが、配布数が限定10個と希少価値が高く、現在は約41万円まで価格が上がっています。
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天ぷら専門店「TEN Labo」の会員権NFT
二次流通を不可にしているNFT会員権の事例もご紹介します。
「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」などの人気飲食チェーンを展開するロイヤルホールディングスが、「天ぷら ✕ web3 ✕ AI」 で外食産業の構造的課題の解決を目指す新たなプロジェクトとして、天ぷら専門店「TEN Labo」の営業開始を発表しました。
TEN Laboは、2023年4月27日に東京の錦糸町に実店舗をオープン。
一席ごとにタブレットが設置されており、気兼ねなく自分好みの天ぷらを好きな順番で注文することができるというストレスフリーなシステムが導入されています。
TEN Laboは会員証NFTを発行しており、保有者(会員)が会員証NFTを席のタブレットにかざすとアレルギーや嫌いな食材、好きな食べ方などの情報を入力できるだけでなく、自分専用のメニューを作れる等の特典を受けられるので、効率的かつ安心な食事環境を楽しむことができます。
またTEN Laboで提供される食品の一部については、注文用のタブレットから生産者の情報を知ることができますが、情報掲載にとどまらず、ユーザー(客)がタブレットから、食材生産者や従業員を直接評価する仕組みを導入しています。
評価された食材生産者や従業員にはトークンが配布されるので、ユーザーが直接生産者や従業員を支援し、モチベーションアップに貢献できる新時代の飲食店として大きな注目を集めています。
終わりに:NFT会員権の活用方法
この記事では、ホテル、自動車メーカー、飲食店と3つの業種でのNFT会員権活用事例をご紹介しました。
3つの事例から、NFT会員権をつくる際のポイントがわかったと思います。
NFT会員権を導入したいと検討するレストランやコミュニティ、企業は国内外で増え続けており、暗号資産決済に慣れていない人などを対象に、企業が代行してNFTを購入するサービスなども登場しています。
デジタル資産に現物や現実世界での体験が紐付くNFT会員権は、今後ますますビジネスの現場に浸透してくると考えられます。
今後は会員サービスの1つであるポイントカードなどにもNFT化の流れが出てくるかもしれません。
昨今はポイントカードの特典などもかなり充実していますが、十分なポイントが貯まるまでは時間がかかるため、交換期限が迫り使うタイミングを逃しそうなポイントなどをNFTとして売却できたらユーザーにとってはうれしいですね。
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